梅は咲いたか

2012.3.26の梅の話の続きです。

このすぐあと新聞に、ここの記事が出てました

中日新聞 2012/3/28 17頁 北勢版 広域三重面
 − いなべ梅林公園 陽気に誘われ開花
 − ・・ 四千五百本の梅は、咲く時期が少しずつ違う種類を交互に植えてある。
 − 今は早咲きが満開となり、しだれ梅など遅い種類はこれから。・・(前後の文は省略します)”

前回の最後に「咲き方のばらつきについて考えたい」と書いたら、即座にタイムリーなこの記事・・。
要はわざと咲く時期が色々な種類にしてあるので、咲き方にばらつきがあるということですね。

梅の種類によって咲く時期が違う・ずれがある、というのは当然の感覚としては分かるのですが、ここではもう少し深く考えてみたいと思います。


(2012/3/26 のいなべ市農業公園。今日3/31はだいぶ開花が進んでいるでしょう)

梅はどんな仕組みで咲くのかな、という話です。

植物の花は、まず花の芽ができて、つぼみになって、花が咲く、といった感じで生長していきます。
このように花芽が大きくなって花が開くためには暖かさが必要です。

花が暖かいと感じて生長するのに必要な温度というのは、単に何℃といったものではなくて、温度×時間で段々と育っていきます。
つまり単純にいうと、30℃の日が1日と、10℃の日が3日というのは同じだけ花(芽)が生長します。

この温度×時間の合計がいくらで花が咲く、というのが種類によって決まっています。
そのために咲く時期が違ってくる・ばらつきがある、ということになります。

花芽ができる ⇒ 花芽生長 ⇒ 開花
↑暖かい温度×時間

  

ただし、もう一つ考えなければいけないことがあって、樹木には花芽が夏や秋にできて、寒い冬を越したあと、次の春や夏に花が咲くという種類があります。

今回の梅や、桜などがこのタイプです。

寒い時期を乗り越えるために、動物の冬眠と同じように、花芽も休眠します。
寒くなる前に準備をして眠って[休眠]、もういいかと言う頃に目を覚まし[休眠解除といいます]、花を開きます。

そしておもしろいことに、一度眠ってしまったら目を覚ますために低い温度が必要なのです。

動物的な感覚だと、寒くなって眠っても、暖かくなったらすぐ目を覚ましそうなものですが、花はそうではありません。

眠ったあとすぐ暖かくなっても咲くことはできず、一定の時間寒い中過ごしてやっと目が覚め、花を咲かせます。

花芽の生長と同じように、(低い)温度×時間で目が覚めます。
この低い温度というのも、何度以下というのが樹木の種類によって決まっています。

休眠 ⇒ 休眠解除
↑低い温度×時間

  
  
花芽が生長していくことと、休眠の流れをまとめると、

花芽ができる ⇒ 休眠 ⇒ 休眠解除 ⇒ 花芽生長 ⇒ 開花
↑低い温度×時間 ↑暖かい温度×時間

  
 
となります。

ここまでは大まかな話なので、もう少し続けたいのですが、長くなってきたので次回に続きます。

2012.4.6 に続きの”開花のしくみ”を書きました

今回の話は『さくら百科』(※1)という本で勉強させてもらいました。
題名のごとくサクラがメインですが、比較対象としてウメの資料もあるのでその部分を参考にしています。

(※1 永田洋 編,『さくら百科』,丸善(2010).)

さくら百科

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