開花のしくみ(続き)

前回(2012/3/31 梅は咲いたか)の続きです。

花の生長と冬の休眠ついての話でした。

花芽ができる ⇒ 休眠 ⇒ 休眠から覚める ⇒ 花芽生長 ⇒ 開花
    ↑低い温度×時間 ↑暖かい温度×時間   

 
どうしてこういう仕組みになっているのか、自然とそうなった、というのは簡単ですし正しいとは思いますが、もう少し考えてみたいと思います。

というのも、こうなっている合理的な理由があるはずだからです。
生き物は環境に適応できたものしか生き残っていくことができません。

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梅や桜などの被子植物(すごく大まか言うと種に殻があるもの、植物では一番多いです)は、新生代第三紀、というと6,400万年〜1,700万年前くらいにはほとんどの種類が出現しているので、それからずっと子孫を残しながら生きているわけです。
ちなみに人間は、第四紀でようやく原人、新人(ホモ・サピエンス)は4万年前です(このあたり久しぶりに高校の教科書見ました)のでだいぶ先輩です。

この間、一日の昼と夜の温度変化、年間の温度変化、また長い目で見ると氷期間氷期という、寒い時代と温暖な時代も乗り越えて生きています。

大げさになってきましたが、要は少々の温度変化では枯れないようにできているということです。
たまに異常気象で寒いからといって全滅はしないようになっています。

(少々というのがポイントですが。また植物は動物のように場所を移動できなかったり、人間のように服で調整できないことも特徴です。でも生身で耐えられる温度変化というのは、動物も実はそんなに大きくないですね。)

 ホモ・サピエンス(本文とはあまり関係ありません)

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まず休眠するのは寒さから身を守るためです。寒いのに花を咲かそうとすると凍って枯れてしまうので、芽が凍結に耐えられるようにします。

その休眠の合図を送るのは、葉っぱです。
夏の終わり頃から日の長さが短くなったことを感じ取って、休眠するための物質を芽に送ります。
つまりまだ暑い時期から休眠の準備に入って、急な早霜などで被害を受けないようになっています。

そして落葉するまでには休眠に入っているのですが、休眠に入る前に葉が無くなってしまうと、そこから花芽が生長してしまって花が咲くことがあります。
花芽にとっては予定外の出来事で、葉を毛虫なんかに食べられたり、台風で葉が落ちてしまったり、水分状況など特殊な理由で葉が落ちたり、などがあります。
これを狂い咲きと呼んだりします(訳も分からずおかしくなったような感じなので、あまり良い印象の呼び方ではない気がしますが・・)。

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休眠に入ったあと、冬の間の長い期間低い温度で過ごさないと休眠から目が覚めませんが、これはなぜでしょう。

秋くらいに急に気温が上がって、小春日和と言われるような暖かい温度になることがあります。
もしこの温度に反応して咲いた場合、またすぐ寒くなったら花が枯れてしまいます。

これを防ぐために、急には目が覚めず、花を咲かす準備に入ったり咲くことができないようになっているのです。

冬の間は一時温度が上がっても目が覚めず、ちゃんと春になってから温度が上がりだすと咲くことができるというのはよくできた仕組みだなと思います。

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そしてある一定の温度×時間を過ごして、授粉や実の生長などにもいいかという時期にようやく花を咲かせることになります。


そういえば”はなかっぱ”君が”開花!”させる前に歌って踊って、最後力を込めてますが、あれも花に温度と時間を与えてるんですね(急に小さい子供がいる親しかわからない話になりました)。

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簡潔に分かりやすく書きたいのですが、脱線気味ですしやっぱり長いですね。
やはりイラストとか入れないと読みづらいかもしれません。

今回も『さくら百科』(※1)と、高校時の生物の教科書(特に記しません)を参照しました。
文章の内容は、本の自分なりの理解と、そこから発展させて考えたことが含まれています。

(※1 永田洋 編,『さくら百科』,丸善(2010).)
さくら百科